人類は、常に戦いを必要とした。

しかし、技術は発達しても“それ”は何等変わりは無い。

人は、常に戦いによって成長していくのだから、

「人類の革新」を人が見つけるまでは、それは変わらないであろう・・・

ー六光 聖の著者「ニュータイプ」よりー
テロ組織。



それは、どの様な時代も他の組織を吸収して成長していた。

だからこそ、今では・・・温暖化が地球冷却計画によって終止符を打たれた後も、

地球の敵・・・・であった・・・・

だからこそ、「宇宙の敵」でもあるはずである。

しかし、だ。地球に根を張った人間ー・・・・「アースノイド」は、余りにも傲慢すぎた。

だからこそ、コロニーの一部の人間は、「テロリスト」に資金を援助するなどの行為をしていた・・・



例えるならば、こうだ。

ある計画が持ち上がり、人件費の問題もあり、コロニーに大規模市場などは移りつつあった。

だが、何時までも地球からコロニーを見下したい人間は・・・その計画を当たり前のように棄てさようとした。

しかし、有力企業がコロニーに移ってからでは地球も手は出せない。

まるで、「狭い世界」から人類は解放されたように、コロニーに大量に移っていった・・・

それを理由に地球は・・・コロニーに色々な制限を加えた。

地球からコロニーの商社と取引をするのには、手数料はかからない。

だが、コロニーの場合は逆である。寧ろ、かなりの手数料がかかる。

それを嫌い、宇宙圏で取引を行う企業も出てきた。

だが、それは地球は止めようとしない。何故なら、「宇宙海賊」が出没するからだ。

コロニー内の噂では、地球の奴等が海賊達に金を払っているとも言われている。

勿論、パトロールは行われている。だが、それはあくまでも表向きであった・・・





この前の「沖縄連合MS奪取事件」については、正式公表はされなかった。

現在の日本は、34国と連合同盟を結んでいる。しかし、其れは何故か。

なぜならば、既に核は放棄しているが、北朝鮮などの国家が増長するからである。

奪われたMSはAT-001「ヴァラクーダ」であった。

実用性を高め、汎用性を極めさせた機体である。

勿論、試作機ではあるが、其れまでに・・・99機のも試作機が存在していた。

まだ機体のストックはあるが此れを切欠に・・・・新型MSの開発が始まった。

きっと、奴等・・・もう、「アルカイダ」と呼ぶのは古いかもしれない。

其の他テロ組織を吸収した奴等は・・・「パイオニア」と名前を変えていた。直訳すると、「開拓者」だ。

彼らは、攻撃の刃を地球に向ける。そう、MSを使って。

かつて、地球で救えて貰えなかった者や、

巨大国に何らかの恨みや反感を持つ者がもっとも集まっている。昔とそう変わってはいない。

MSは、地球でも宇宙でも最も脅威である。

四肢のマニュピレータを使うだけで宇宙では燃費向上、緊急回避、姿勢制御、

それに宇宙戦艦の死角から射撃されると戦艦は手も足も出ないことを、性能試験が証明している。皮肉にも。

地上ではその大きさが死を迎えることにもなるが、逆にもなる。戦車を軽くつぶすのにも十分だ。

それに、同じく姿勢制御も出来る。極めつけは、戦闘機に装着困難な、新型のビーム兵器も搭載できる。

唯一の対MS兵器といえば、やはり目には目を、歯に歯を、MSであろう。

基地搭載のビーム兵器や熱線兵器、ミサイルもあるが、同じく新型の「ビームシールド」に弾かれてしまう。

攻撃兵器であるビームを、防御にも適応させたと言うわけだ。





ー新型月都市フォン・ブラウンー


黒い煤けた色は、大気圏に突入を繰り返した証拠であろう、シャトルがここ1週間前くらいに完成した都市の裏側のドックに停止した。

そこから、先ほどの特殊スーツの男が出てきてドックの都市方面から歩いてきたジャケットの男と向き合った。 「・・・・どうだ?」

スーツの男が特殊スーツの男に訊いた。

「俺の小隊は殆ど殺やれた。生き残ったのはジェイミーだ。他の奴等はマシンガンで蜂の巣だ」

吐き捨てるように言った。

「・・・おおかた米兵だろう・・・下卑た地球主義者め・・・ジェイド、お前は大丈夫か?」

「俺が死ぬ時は地球連合が死ぬ時だ。地球を殺して俺も死ぬって訳だよ!」 ジェイド、そう言う名前らしい。

「お前は死なない。死ぬのは奴等だけだ。」

「そうだと良いけどな、ヴェス」

ジャケット姿の男はそういう名前らしい。

「新型兵器だが、あれは化け物だ。あ、手に入ったがな。その代償としてシャトルが一機と仲間だ・・・」

「MSか・・・卑怯だな・・アースノイドだけには渡さない・・・・すぐ量産体制に入るぞ」





あれから半年後・・・時は過ぎた。

長野の平原・・・

「なぁー夏輝、どう思う?」背がまぁまぁ伸びた白川が言った。

「下の名前で呼ぶな。って、嘘だよ。最悪だ。」

「はい、崎山様。やっぱなぁ・・・なんで成績不振者だけの合宿なんてあるんだろうな・・・」

スースーと寝息が聞こえた。

見ると、崎山が寝ている。

「くらぇ!!」

そういうと白川は崎山の顔の上にどこからか拾ってきた蛙を投げつけた。

ベチっと言う音を立てて蛙は崎山の顔の上に当たって、ゲコっと悲鳴を上げた。

「ん・・・ぶわあああああああああああああああああ!!!!!!!!」

その後にやや遅れながら崎山がバタつき悲鳴を上げた。

「バーカ!!!!ってうわぁ!!」

崎山が白川を殴りつけた。勿論、手加減して。

そのとき、上空でヴァア・・・という形容不可の音とともに金属音が聞こえた。

彼らが空を見上げた。何も見えない。だが、それは確実に近づいている・・・・

「連合司令部より伝令!!連合司令部より伝令!!!!!」

長野日本地球連合本部で通信機ヘッドセットをつけた男が言った。

「上空に未確認機動兵器・・・・・・!!!これは!!!!モビルスーツです!!」

モニターにアップされた映像が映る。

それは、装甲や武器等は強化されているが一目で分かる、「ヴァラクーダ」だった。

「ガジェットを機動発進させろ!!ここを叩かれては成らん!!」 そう指令部長らしき人物が言った。

同時刻、白川と崎山の目に入ったものは・・

鉄の巨人・・・いや



鉄の悪魔であった。